小川研究室では2019年度放送文化基金から助成金を得て、精神障害を持ちつつ社会復帰を試みる方など、社会の周縁に置かれがちな人々とともに、その経験を語る番組(悩みつづけるラジオ)を制作して地域の人々に発信することで、当事者発信とリスナーによる理解を促すことを目的としたアクション・リサーチを行っています。この「悩みつづけるラジオ」は、福井県鯖江市にあるたんなん夢レディオ(コミュニティFM)で実際に1月から3月まで月2回の放送を行い、4月からは自分たちで番組を制作・放送していく仕組みを作ろうとしています。

1回目は発達障害に気づき、苦しんだ経験を語ってくれた水耕栽培の事業所で働く松本さん。2回目は同じ事業所の若手である梅田さん、そして3回目は福祉の仕事を目指して依存症を克服した(と言っていい)トモさんがゲストとなって、それぞれの症状や苦しみ、その後、転機となった出来事について、当事者の目線から語ってくださいました。それは私たちがイメージで捉える症状とはまた違うもの。マス・メディアで流しても遜色ないほど、聴きがいのある語りが集まっています。今後は吃音で悩んだ経験を持つビジネスマン、依存症を克服しようとする自主団体(GA)を主催するヒルトンさん、誰もが可能性のあるアルコール依存症経験者などが語ってくれる予定です。今後は、それぞれ出演した人が、「笑っていいとも!」スタイルでゲストを紹介し、ラジオが面白いと思える方が司会やミキサーを引き継いでいくという仕組みを作ろうとしています。

これらの貴重な語りは、今後、アーカイブして、オンデマンドで聞けるように調整中です。楽しみにしていてください。

(写真は建設中の福井新幹線)