今年4月からゼミ生として一緒に研究を続けている中京テレビ報道部のO.ホンゴルズル(通称 ゾーラ)さんの作品「最前線で戦うロシアの少数民族 ブリヤートの真実」がYouTubeで公開されています。

ロシアと国境を接するモンゴルには、迫害や徴兵を逃れようとたくさんのロシア人がやってきます。モスクワなど徴兵の反響が大きそうな都市部ではなく、少数民族が暮らす地域からの徴兵という気付きにくい現実をモンゴルから見つめるとともに、故郷を去らねばならねばならなかった戦時下の庶民が置かれた日常を描いています。

だからと言ってロシアだけを非難しているわけではなく、ウクライナの状況に対しても疑問を投げかけています。「全体主義的な出国禁止が続けば、結果、ウクライナは民主主義国家ではなくなる」、お金がある人のみが出国でき、ひとたび戦争が始まれば、一番弱い人に皺寄せがいく現状を憂うウクライナの弁護士たちの声、「全員を出国可能にしたら誰が国を守るのか」という街の声など、戦時下における多声的な現状、困難が静かに描き出されています。

アメリカに難民申請をしようとしている登場人物が最後に語る言葉。私たち日本人にも突き刺さる言葉です。是非一度ご覧ください。

また、ゾーラさんの番組としては、他にも「77年前の戦争 両足を失った96歳の男性が語るモンゴル抑留の真実」もたいへん見応えがあります。モンゴルにも日本兵の抑留があったこと、そしてモンゴルと日本の間を繋ぎ続けた男性のストーリーです。日本ではドキュメンタリーは視聴率が取れないというのが定説になっていますが、この番組は2023年5月時点でまさかの490万回再生。いろんなことを考えさせてくれる作品です。こちらも是非。