成城大学で行われたシンポジウム「文科系大学におけるICT教育を再考する」に登壇しました。他はがっつりICT教育に携わっておられる先生方の間で、今回の私の役回りはトリックスター。メディア・リテラシーやデジタル・ストーリーテリング、綴方運動などと比較しながら、日本のICT教育において忘れられている側面をあぶり出そうという試みでした。(と言いつつ、十分その役割が果たせなかったのが悔しいですが。)
文科省や大学、団体などが提示しているさまざまなICT教育のモデルの中で、メディア・リテラシーは驚くほど小さな場所しか与えられていません。主体的に生きていくためのリテラシーが中心にある欧米のモデルとはあまりにも異なり、資本主義社会で企業の有能なコマとなるために必要な技能を教え込むことが目的になっているように見えます。もちろん、そうしたスキルは大事であることに異議はありませんし、私も学びたいところですが、それだけ、というのも残念な気がします。特に、情報倫理などが「〇〇してはいけない」という禁止事項だけで語られがちなのも気になります。日本のICT教育のモデルに、ICTのC、すなわち「コミュニケーション」という目的が抜け落ちているのを感じます。
炎上が怖いから発信はしない、気をつけるという若者が少なくない現在、もう一度、「リテラシー」とは何かを社会において考えていくことの重要性を感じさせられました。