デジタル・ストーリーテリングは、異なる背景を持つ人たちが、誰かが気持ちや経験を語った短い映像を共有しあう活動です。海外ではマイノリティの人々や病気をしたひと、ミュージアムや学校、NPOなどで活用されています。
「自粛警察」という用語に代表されるように、現在、残念ながらコロナ禍において、他者に対する心無い言動が話題になっています。誰にも会わずにじっとしていなければいけない人にしてみれば、自由に行動する人が嫉ましくも思えるでしょうし、またずっとこもっていることで心身のバランスを崩してしまうことも考えられます。今後の経済などを考えれば、この社会の行く末も気になるところです。
そこで、なかなか普段話すことができないみなさんと、これまでに作られた短いデジタル・ストーリーを共に鑑賞し、少人数のグループで感想をかわしながら、1)語り合うことで現状のストレスを発散!するとともに、2)他の人の経験や気持ち(一人称の世界)を少しだけ経験し、3)今、自分が有しているメッセージを見つけ出してみようと「デジタル・ストーリーナイト」を企画してみました。
ぜひご参加ください。詳細はこのPDFをご覧の上、お申し込みをお願いいたします。
追記:無事、30名の参加を得て開催されました。作品はどれも非常に訴えかけるものであり、また当事者の方の声を聞くことによって、新たな視座を得られたというコメントもたくさんいただきました。終了後の「もうちょっと飲み会」にも10名のかたに参加していただきました。今後、やってみたいというお声も聞きました。ありがたいことです。
ストーリーナイトにあたり、福井県で社会福祉士をなさっている藤田さんは、コロナ禍の状況でオンラインで複数の方と対話を重ね、何かと自粛警察がターゲットにしがちな依存症のかたが作品を作られました。また、法政大学坂本ゼミの学生さんも、アルバイトが必須となる経済状況において、ベビーシッターにいかなければならない学生の気持ちをストーリーにしてくださいました。立場が違う人たちが理解を深めるとてもいいチャンスになったと思います。
また、Zoomでの視聴も極めてスムーズで(静岡産業大学の植松頌太先生のお力あってこそですが!)、グアテマラの作品も字幕付でみることができました。個人的には、2008年にデジタルストーリーテリングを初めて10年強、ようやく、制作も視聴も、全てがオンラインでできるようになったことに感慨深いものを感じました。
ネット上での暴言やイジメが問題になっています。ともすると、そうしたネガティブな視点だけを気にしてしまいがちです。きちんとデザインしたコミュニケーション・プラットフォームを利用すれば、北海道から東京、名古屋、福井、広島と人々をつなぎ、みんなで作品を鑑賞し、対話をすることが可能だったわけです。時間と空間を超えて人が集まれる。デジタルメディアとは何かがおぼろげながら見えてきた夜でした。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。