日本メディア学会春季大会で企画したワークショップ「ニュース砂漠と地域ジャーナリズム:住民による行政監視活動の課題と展望」が盛会のうちに終了しました。

屋久島ポストは、町民からの相談を受けた元朝日新聞編集委員の武田剛さんが住民と共に立ち上げたウェブ新聞です。素朴な疑問、領収書一枚から、住民たちの力を結集して調査報道が始まり、次々と不正が明らかになっていく様子、そうした活動に対する妨害、既存メディアの協力と限界についての報告は非常にドラマティックで聞き応えのあるものでした。また同様に、Watchdog大津を共同で立ち上げ、監視活動の指導をされている小黒純先生からは、その経験を踏まえた学生やボランティアの人材育成、ファンディング面でのサポートについての課題と可能性が示唆されました。

オンラインと併せ、ご参加いただいた50名の方とのブレーンストーミングでは、諸外国でのジャーナリズム支援事例を踏まえ、メディアOG/OBの方のご協力をいかに仰げるか、オンブズマンをはじめとする地域社会の多様な団体とこうしたジャーナリスティックな活動の連携は可能か、大学はいかに協力できるのか、法的サポートは?など多様な意見が交わされました。このワークショップを機に、今後も引き続き、登壇者と参加者の間で情報交換を続け、ネットワーク化を進めていきたいと思います。

マスメディアの弱体化がさほど進んでいないこともあり、日本における地域ジャーナリズム支援は全くといっていいほど議論されていません。この間、諸外国では、大学、公共放送、非営利法人、財団、国などが弱り続けるジャーナリズム活動をサポートする体制をなんとかして作り上げようとしています。日本でも多くの方に少しでも関心を持っていただき、各地で安全に(楽しく)権力監視ができるシステムをサポートできるといいなあと考えています。

年配の参加者から、これまでで一番楽しいワークショップだったと言っていただき、ちょっとうれしい。ブルーで死にそうだった毎日に、久しぶりに少し光がさしました。これを読んで、ご協力いただける方がいらっしゃいましたら、ぜひお知恵とお時間をください!

メディア学会、どのワークショップも面白かった。若い参加者が増え、場所も相まってとても雰囲気が良くなっている気がしました。