『ケアする声のメディア -ホスピタルラジオという希望』を読んで、このサイトに行きついて下さった皆様、ご購読いただき、まことにありがとうございました。このページでは、簡単に声のコンテンツを作り、思いや経験を共有する方法についてご紹介したいと思います。

サンフランシスコ空港で展示されていたSFOミュージアム所蔵のノベルティラジオ。これら全てがラジオ、らしい。
  1. コミュニティFMで始める

書籍では十分に取り上げられませんでしたが、大変影響を受けた取り組みの一つが、札幌のここリカ・プロダクション制作、FMアップルで放送されている「ここプロ・ありのままラジオ」です。ここリカ・プロダクションは、障がいのある方がメディアコンテンツを作り、発信することを目指したB型多機能事業所です。ラジオの他にもYouTubeチャンネルなどを立ち上げていて、まさに「ありのまま」に個性あふれる日常の語りは、なるほどと思わされたり、納得させられたりと興味深い内容です。

もちろん、基幹放送として位置付けられるコミュニティ放送としては、少なからず公正中立などを求められ、またスポンサーとの関わりなどからプロのパーソナリティだけを採用しているケースも多く、そんな理由(時には正直、きちんと考えられた上ではないケースもあるでしょう)で断られることもあるかもしれません。しかしコミュニティFMの中には、住民が自由に発信することを期待して設立された局もあります(NPO法人などが多い傾向があります)。著書でも触れた三角山放送局、初めてのNPO法人としてのラジオ局となった京都三条ラジオカフェなどでは、気軽に番組を放送できるような仕組みが整っています。最近では、こうした番組制作を推奨していたり、個性あるパーソナリティを求めているケースもあるので、自分の近くのコミュニティ放送局がそうした番組制作を受け入れているかどうかをぜひ確かめてみてください。多少お金を払っても、コミュニティFMが持っている機材、技術、制作ノウハウなどは、機材選定やキューシートの作り方などの基礎を学び、今後、多くの人に聞いてもらう上でも役立つはずです(総務省コミュニティ放送の現状)。

2. Podcastで始める

・代表的なプラットフォーム

日本では、多くの音声コンテンツが、Apple Podcasts、Spotify、Google Podcasts、Amazon Musicなどのプラットフォームで配信されることになります。他にもVoicyなどがありますが、こちらは応募者のうち5%だけが通過ということですので、プロ、セミプロ、あるいは自信がある方向けと言えるかもしれません。

・目的とターゲットを決める

昨今はとても簡単にPodcastや音声だけのYouTubeが作れる仕組みが整ってきましたが、その前に、なぜPodcastを始めるのかをきちんと考えておく必要があると思います。あなたはなぜPodcastを作ろうと思ったのでしょうか。何のために?誰のために?著書でも書きましたが、藤田医科大学のフジタイムには綱領があります。PodcastやYouTubeを続けていても、視聴数があまり伸びないと、どうしても目的がぶれてきてしまい、何のために、誰のためにやっているのかがわからなくなって迷子になることがあるようです。最初に目的やターゲットをきちんと決めておくと、その目的に向かって迷わず試行錯誤を進めていくことができるのではないでしょうか。

YouTubeほどではないものの、Podcastにもたくさんの企業や人が参入しています。そこから「選ばれる」ためには、やはり明確なコンセプトがあった方がいいだろうと思います。自分の専門性、あるいは特殊性などは武器になります。

目的はあるけれど、「誰のために」、すなわちターゲットについて考えることはあまりないかもしれません。しかし、全てのメディア・コンテンツは、ある種の「ターゲット」に向けて制作されています。自分が語ること、語りたいことを聞いてほしい人、聞いてくれそうな人はどのような人なのか。すべての人を理念的にターゲットにしているはずの地上波テレビやラジオでさえ、新人教育では「誰かを視聴者・聴取者として思い浮かべて語る」ことが推奨されたりします。ぼんやりと語るだけでなく、特定の誰か、あるいは属性や嗜好の人に向けて語ることで、より考えや想いが「刺さる」ことになるのではないでしょうか。著書でも書きましたが、ターゲットを設定したからと言ってその人たちだけが聞くわけでもないのです。ターゲットを広く設定すれば、万人受けする内容、悪く言えばぼんやりした内容になりかねません。ターゲットが狭ければ、その分、深い話ができる可能性もあります。

・時間と構成

ポッドキャストの時間は自由です。34分25秒、でも全く問題なく、その点が時間に縛られる放送とは異なる点です。人気のあるポッドキャストは1時間以上のものもありますし、5分程度でたくさんのエピソードが聞けるような構成になっているチャンネルもあります。長くおしゃべりや議論を楽しむのか、短く情報を伝えるのかという視点からコンテンツの時間を考える必要があります。

いずれにせよ、一般的には、何も準備せずに話すのは難しいと考えられます。ラジオ局ではキューシートという簡単な台本のようなものを作ります。なくても問題はないのですが、メリハリをつける上でも構成を確認し、準備して臨むことをお勧めします(キューシートのサンプルはこちら)。

以後、順次更新

・機材の準備

・スマホ一つで作ってみる

魅力的なタイトルとサムネール

・ジングルを作る楽しみ

・Clubhouseでトークする