2024年春の立命館大学映像学部 社会連携プログラムの授業で、京都市交通局が京都駅と四条駅に所有するデジタルサイネージの映像を制作しました。今年度のテーマは、市バスへの大型手荷物持ち込みについての注意喚起と、学生の市内フリー定期券のプロモーションでした。
久しぶりの映像制作実習、さらにデジタルサイネージという縦型、しかもパブリック空間で放映される大型映像の制作ということで、どうしたらいいのか、当初はよくわかりませんでしたが、学生や交通局の方々とさまざまにディスカッションを重ねながら制作していきました。

サイネージの制作にあたって、学生とともに気がついたことは主に4つあります。

一つは30秒が意外と長いということでした。テレビでもウェブ上でも広告はせいぜい15秒で、多くの人は歩きながらデジタルサイネージを視界に入れることが多く、30秒立ち止まって見ることはほとんどないのかもしれません。

そこで二点目に、どのように注目してもらうかが大きな問題でもありました。街中のデジタルサイネージを注目してみると、主に2つのタイプに分かれるように思われます。美的に構成されたインパクト重視の静止画で注目を引こうとするもの。そしてプロモーションや広告として、細かな情報を入れ込むものです。しかし個人的には細かな情報をサイネージからわざわざメモすることはありえないようにも思えました。今回は詳細な情報はQRコードで飛ばすというところに落ち着きました。

三点目に音がないということです。映像を作るとき、私たちは無意識に音を伴って編集しています。しかし音や声がないところでどのように伝えるのか。それは文字をどう使うか、映像だけでどう伝えるかを徹底的に考えることにつながりました。色味などにもかなりこだわりました。

最後に、京都という土地柄もあり、外国の方にどう伝えるかを否応なく考えました。最初、学生が作った作品には日本でしか使わない記号や絵文字が使われていました。この辺りを確かめてもらうと、海外では使わなかったり、あるいは誤解を生むような表現がいくつかありました。私たちが当たり前に使っている絵文字や視覚表現が、グローバルな視点からすると問題含みになるということにも気付かされました。

初めての指導経験で、失敗したと思うこともたくさんありましたが、作品はどれもよくできていると自賛しています。京都新聞、KBS、読売新聞などでも取り上げてくださったそうです。学生たちの努力の成果を一度ご覧いただければ幸いです。

デジタルサイネージの映像